利益は限界利益と固定費との差であり,また固定費はその期間にはきまった額個定額)生じるとすれば,利益を多くするため,したがって目標利益をあげるようにするためには,限界利益を多くすればよいわけです。
この点からみますと,品種別などの生産販売計画のたて方としては,つぎの3つの原則を考えることができます。
限界利益率の高いもの,または単位当たり限界利益の多い製品などの生産販売をできるだけ多くすること個別法(多品種企業の損益分岐点の求め方)のところであげた例(表8-5)では,製品Aは,限界利益率30%,単位当たり限界利益300円で,限界利益率または単位当たり限界利益が最も高いから,製品Aの生産販売をできるだけ多くするわけです。
企業に余力ある場合(操業度が低い場合など)には,ついで製品Bの限界利益は20%,単位当たり限界利益は200円で高いから,製品Bの販売をできるだけ多くするようにするわけです。
企業に余力ある場合には,限界利益率または単位当たりの限界利益がプラスになれば,その製品などを生産販売すること個別法のところの例では,製品Cは限界利益率10%,単位当たり限界利益100円で,限界利益率または単位当たり限界利益は低いが,製品Cの400万円または4,000単位の売り上げがありますと,40万円の限界利益が生じて,それだけ利益が多くなります。
ですから,企業に余力ある場合には,限界利益率,単位当たり限界利益は低くても,単位当たり限界利益がプラスになり,限界利益率がプラスになるものは,注文を引き受けて生産販売すると,利益がふえます。
限界利益率または単位当たり限界利益がマイナスになる製品などは,原則として生産販売を止めること個別法のところの例では,製品Dは限界利益率一10%,単位当たり限界利益です。
製品Dの200万円または2,000単位の売り上げがありますと,−200万円の限界利益となって,それだけ利益がへります。
ですから,限界利益率または単位当たり限界利益がマイナスになるものは,原則として生産販売を止めるのが有利です。
ただし,単位当たり限界利益と限界利益率がマイナスになる製品などを生産販売することによって,単位当たり限界利益と限界利益率の高いものの生産販売がふやせたり,広告宣伝費が節減できる場合などは別です。
販売地区や,顧客の種類別などにも,販売価格と単位当たり変動費との関係で,単位当たり限界利益と限界利益率がつかめますから,地区別,顧客の種類別などの販売計画の場合にも,以上の3つの原則を用いることができます。
生産販売計画のたて方としては,以上のような原則が考えられますが,これらの原則は,前述のように,固定費はきまった額個定額)かかるとすると,利益を多くするためには,どうしたらよいかという原則です。
ですから,まず設備投資をしたり,人員をふやして,限界利益率または単位当たり限界利益の高いものの生産販売をふやしますと,減価償却費や固定給などの固定費がふえます。
限界利益は増加するが,固定費も増加するわけです。
限界利益の増加以上に,固定費が増加すると,利益は逆に減少します。
固定費はふえても,限界利益の増加以下の場合に,利益が増加するわけです。
固定費がふえる場合には,この点を考えて,生産販売計画をたてることが必要です。
またその製品,その得意先(顧客)への販売などは,限界利益率または単位当たり限界利益は高いが,製品や売掛債権などの回転期間が長いこともあります。
そのような製品などの生産販売をふやしますと,なるほど限界利益がふえて,利益は増加しますが,製品や売掛債権などが増加して,投下資本が増加します。
投下資本の増加が多い場合には,投下資本(総資本)利益率が低下します。
ですから,製品別などの限界利益率または単位当たり限界利益とともに,製品や売掛債権などの回転期間を考慮して,生産販売計画をたてることも必要です。
4品種別などの生産販売計画(n)多品種企業の損益分岐点の求め方には,基準法という方法もありますが,この基準法という方法も,品種別などの生産販売計画に便利です。
たとえば基準法のところで説明した例では,目標利益を100万円とすると,基準品種Aの売り上げで1,667万円(または16,667単位)の売り上げが必要です。
そのようにまず,基準品種での売り上げで,販売計画をたてるわけです。
ついで,各品種の生産販売計画をたてます。
この例の場合,前述の生産販売計画の三原則で,A,B,C,Dの各品種の生産販売計画をたてますと,つぎのようになります。
製品A(基準品種)は限界利益率30%(または単位当たり限界利益300円)で最も高いから,製品Aの生産販売をできるだけ多くします。
市場の関係などで,製品Aの売り上げは(最大限)1,000万円(または10,000単位)しかできないとします。
そうしますと,つぎのように,製品B,C,Dの売り上げが基準品種Aの売り上げで667-万円(または6,667単位)必要になります。
この例では,製品Bの限界利益率は20%(または単位当たり限界利益200円)で,製品Aについで高いから,製品Bの生産販売を企業の能力の許すかぎり,ふやすことが必要です。
製品Bの売り上げは(最大限)650万円(または6,500単位)できるとします。
基準法のところで説明した方法で,この製品Bの売り上げを基準品種Aの売り上げに換算しますと,つぎのようになります。
したがって,つぎのように,製品C,Dの売り上げが基準品種Aの売り上げに換算して234万円(または2,334単位)必要になるわけです。
この例では,製品Dは限界利益率は−10%(または単位当たり限界利益は−100円)ですから,製品Dは生産販売を中止するとすれば,製品Cの売り上げが基準品種Aの売り上げに換算して234万円(または2,334単位)必要になります。
この基準品種Aの売り上げを製品Cの売り上げに換算しますと,つぎのようになります。
製品Cの売り上げが702万円(または7,002単位)必要になるわけです。
この場合,製品Cの売り上げも,市場の関係などで,500万円(または5,000単位)しかできないと考えられるときには,製品Dは生産販売を中止するとすれば,新製品を開発して,新製品の売り上げがつぎのように,製品Aの売り上げに換算して67万円(または667単位)必要になるわけです。
販売地区,顧客の種類などについても,基準の地区,基準の顧客などを考えることもできますから,以上と同じような方法で,販売地区別などの販売計画をたてることができます。
設備投資の決定と損益分岐点設備投資による所要の売上高の計画設備投資とは,設備(有形固定資産)をふやすこと,増加することであるといえますが,設備には,減価償却費,修繕費,保険料,固定資産税,金利がかかりますから,設備投資をしますと,これらの費用がふえます。
これらの費用はいずれも固定費であり,固定費とみてよいものです。
ですから,設備投資をしますと,固定費がふえます。
どれくらい固定費がふえるかは,設備投資の種類によって異なりますが,ふつうは,つぎのように1年では,設備投資の額の20%ぐらい増加します。
なお,固定資産を10年で償却するとすれば,各年度(1年間)の平均の減価償却費は10%になります。
また設備に投下した資金は,減価償却によって次第に回収されていくと考えられますから,各年度の平均の金利は,利率6%の半分とみることができます。
たとえば1,000万円の資金を投下して設備投資をしますと,年ではふつう設備投資の額1,000万円の17〜]。8%の170万〜180万円くらい,上にあげたような固定費がふえるわけです。
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